再会
- Kazumi DAVANCENS
- 4月23日
- 読了時間: 7分
こんにちは。
お料理教室Table Bourgeons...の和実です。
4月も半ばに入り、ぽかぽか気持ちがいい日が続いている東京。日によっては半そででお出かけできるくらい!さすがにもう衣替えできますね。
今日のブログ記事はとある人と果たした再会についてのお話。
先日、帝国ホテル東京へお邪魔しました。ホテルには老舗フレンチレストラン「レ・セゾン」があり、シェフを務めるのはフランス人シェフのティエリーさん。今や日本で活躍するフランス人シェフは少なくはありませんが、その中でも彼は重鎮ともいえる古株で、なんと来日20年。お仕事だけで割り切れる歳月ではないですから、彼にとって縁もゆかりもなかった国であろう私たちの国”日本”をこれほどに好いて下さるというのはなんとも嬉しいことですよね。先週は彼の「レ・セゾン」シェフ就任20周年を記念するスペシャルイベントがあり、今回ご縁を頂きディナーに行ってまいりました。

レセゾンには、結婚1周年に夫婦でお食事して以来の訪問で、ホテルに足を踏み入れた瞬間から漂う格式高い雰囲気に思わず背筋が伸びます。お食事前にティエリーシェフがご挨拶に来てくださって、優しいお人柄と満面の笑みに少し緊張がほぐれました。そしてまた別のフレンス人シェフが登場。今回のイベントに3日間限定でコラボ参加した彼こそが、私が昔、銀座のロオジエでお世話になったブリュノーメナールさんです。私がフランスから引き上げてくる際に、誰一人知り合いもおらず、右も左もわからない東京で雇ってくれたシェフであり、ロオジエが初めて3つ星を獲得した瞬間をともに分かち合った仲間でもあるメナールさん。実に17年振りの再会となったのです。現在は日本を離れ、シンガポールを拠点に活躍する彼とはその後音信普通でしたから、私を覚えているかすら自信がありませんでしたが、彼の記憶の中にも私は存在したようで嬉しかったです。

メナールさんのシグネチャー料理を加えたティエリーさんのコース料理の始まりです。お食事のお供にはポメリーのシャンパンを。ニューエディションのこちらはレストランでしか味わうことができないスペシャルボトルだそうで、ラベルもゴージャス!きめ細かな泡とエレガントな風味、それでいて華やかな香りはさすが老舗の風格そのもの。ラングスティーヌやアスパラ、オマールなどとこの後続くお食事とのマリアージュも素晴らしかったです。

アミューズブッシュはメナールさんの、人参のフランと緑のハーブソース。クミンで風味付けした人参に合わせるグリーンソースは、コリアンダーやレモングラスなどの力強い香りが後をひくもので、アジア各国を渡り歩いた彼の痕跡が口の中で広がりました。

一皿目の前菜のラングスティーヌとキャビア。こちらもメナールさんの作品で、ロオジエでもお出ししていた記憶がうっすら呼び起されたような、、、。お皿に描いたピストゥソースは海苔とピスタチオ。お皿をパレットのように色鮮やかに仕上げることに長けている彼らしい盛り付けです。

二皿目の前菜はティエリーさんのアスパラ。シンプルなようでとっても手の込んだ一皿で、桜を合わせて春らしいお味。スダチで風味付けしたオランデーズソースの美味しさは言うまでもないですが、アスパラの火入れのヒントを伺い、私も真似してみたいなと思わずメモ!オーブン焼きなのですが、色鮮やかに仕上がっています。

三皿目のお魚は舌平目。ファルスを詰めて焼いたこちらは、ティエリーさんのシグネチャーのお料理のようで、ふわっとしたファルスとふっくらと焼きあがった魚の身がとってもお上品。記事にしながら、また食べたいなと思っております。

だいたい、火入れした後のお魚をきれいにサーブすることも難しいのに、この素晴らしいカットはどういうことでしょう。サービスマンたちのプロの技が光るお仕事です。
四皿目はオマールエビ。もう最高としか言いようのない一皿で、断トツでこの日のお気に入り!!プリっとした食感もありつつ、レアな甘味も感じられる絶妙な火入れのオマールに思わず唸ってしまいました。合わせたモリーユ茸のソースがこれまた最高。クリーミーでありながら、酸味があるので軽やかな口当たりで、食べ終わってしまうのが悲しいくらいでした。

五皿目はピジョン。鳩はメナールさんのシグネチャー料理。これもロオジエ時代の思い出つまる一皿で、懐かしい気持ちでいっぱいでした。メナールさんが直々におソースをかけにテーブルを回ってくれます。こういったサービスも嬉しいおもてなしのアクションですよね。今回の緑色のクルートはワサビやゴマを練り込んでいますが、彼は当時ワサビ以外にもいろんなクルートを編み出しました。そのアイデアから、私も過去にレッスンでご紹介したことのある「メカジキの香草パン粉焼き」のハーブクルートが誕生しているのですよ!
ペアリングでブルゴーニュ、ボーヌの赤ワインを合わせてもらいました。
デザートへ進む前にチーズを。熟成させたコンテチーズをはじめ、ウォッシュやシェーブルを頂きましたが、コンテチーズによく合うとおすすめ頂き、同地方のヴァンジョーヌをペアリング。「黄色いワイン」と直訳するそれは、その名の通り白ワインですが黄色味がしっかりついてとろみもあり、シェリー酒の角が取れたようなまろやかなお味。とても美味しく頂きました。

リンゴとリコッタチーズのプレデセールをはさみます。ミントで爽やかに香りづけされたそれは、お口直しグラニテのような位置づけだったのしょう。リンゴのシャキシャキ食感と、リコッタムースのまろやかさが楽しい一皿です。

6皿目はデザートに、まろやかなタルトショコラ。クリーミー、サクサク、ザクザク、といろんな食感が一度に楽しめるタルトで、別皿で提供されたチョコレートのソルベがまた最高!濃厚ながら重くないテイストで、食後のデザートに計算しつくされたものでした。チョコソルベに合わせるべく、シェフチョイスでイタリアのバローロの赤ワインが提供されました。ポートワイン的な濃厚で甘味もほんのり感じるワインだったように記憶しています。
おまけで、今回ティエリーさんの新作デザートを頂きました。写真を撮り忘れたのですが、チョコタルトと鰹節アイスのコラボ!びっくりするでしょう??? 本当に鰹節の風味も感じられるし、アイスのクネルの上には鰹節もぺらっと一枚のっており、存在アピールだって抜かりなし。普通では考えられない発想ですが、食べてびっくり、違和感なくバランスの取れたデザートに仕上がっているのですから。チョコレートと鰹節の中間役的存在の柚子の風味も心地良い後味でした。
話を聞くと、フランスのとある有名シェフが、最近チョコレートにアンチョビを組み合わせてデザートを発表したそうで、そのアイデアにティエリーさんも刺激を受けたそう。こうして第一線で活躍しているシェフたちも互いに刺激しあって、常に向上しているのですね。

味覚だけでなく視覚、嗅覚、触覚、聴覚の5感すべてをフル活動させ、彼らのお料理に刺激されっぱなしでした。この経験をTable Bourgeons...を通して別の形で、生徒の皆様とも共有できるよう、私も引き続き日々探究し続けようと強く思う夜でした。
メナールさんはまた日本を離れてしまいますが、アジア各国で多方面でのご活躍を陰ながら応援しています。そしてティエリーさんの益々のご活躍もお祈り申し上げます。
最後になりましたが、今回ご縁をつないで下さったM夫妻には感謝の気持ちでいっぱいです。素晴らしい機会を、どうも有難うございました。
さて、Table Bourgeons...の4月レッスンはいよいよ終盤。昨日、サブスクレシピも配信いたしましたので、メンバーの皆様はご確認いただきますようよろしくお願いいたします。次回のブログでは、レッスンリポートもお届けいたしますので、お楽しみに!
今日も最後までお読みいただき、有難うございました。
ではまた。
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